解離





私たちは二人で一つだった

生まれた時から生まれた後も

ずっとずっと二人で一つだった

蔑みも罵倒もすべての苦痛を二人で分けあった

どちらがどちら、なんてそんなこと、どうでもよかった

私たちが一緒なら何の関係も、問題もなかったから


けれどもそれは唐突に消え去って

初めて叫んだ、「違う」と泣きながら叫んだ

その名で呼ばないで

それは、私じゃない、それは、明日の私だったのに

けれども、誰もその声に耳を傾けることもなく

私を残して消えていく 去っていく

頬を流れる涙を拭う事すら忘れ去って

ただ、その場に私は立ち尽くした





街中ですれ違った影に私はあわてて後ろを振り向いた

ありえなかった、信じられなかった、

そんなはずはないと心は叫んでいた。だって――

けれども、そのまま、なんて出来るはずもなく

気づけば、私は無我夢中で駆け出していた

めぐるときのなかで

流れ行くように

くらやみにひかる、仄かな輝きのように

はるのかぜがふく、その町で、

私は、貴方を見つけた――






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